200勝達成は困難!野手と比べて厳しい投手の名球会入り

打者は入りやすくなった

プロ野球の世界には歴代のレジェンドプレーヤー達で構成される名球会という組織が存在し、現役選手達はこの栄誉ある組織に入る事を目指していると言われます。
しかし、この組織には打者であれば日米通算2000本安打以上、投手であれば日米通算200勝or250セーブを達成しないと入会できません。

日本のプロ野球界は1950年代から長くシーズン130試合制の時代が続いてきました。1990年代半ばから少しずつ1シーズンあたりの試合数が増加し続けており、この状況によりバッターは130試合制だった時代と比べて明確に2000本安打を達成しやすくなっています。

一方で、投手は試合数が増えた恩恵をあまり受けることができていません。昭和時代はチーム内の絶対的なエースが中3日程度で登板して9回まで投げ、シーズン30勝以上を記録する事がよくありました。
しかし、その文化の中で肩を壊して数年で引退を余儀なくされる投手が続出したため、時代の流れと共に1人のピッチャーの登板間隔はどんどん長くなっていきます。

そういった事情により、1970年代からは1人のピッチャーが通算200勝を達成するには25年間から30年くらい現役を続ける必要が出てきました。その上に、日本そして世界の野球界では21世紀に入って分業制が確立し、「ホールド王」というタイトルも新設された事で中継ぎ投手の存在価値がどんどん高まっています。
つまり、先発投手が試合の中盤でピンチに陥った場合、昔より簡単に中継ぎ投手と交代させられてしまう状況のため、ますます先発投手を巡る環境が悪くなりました。

そんな中でも200勝を達成するには、シーズンオフはきっちり肩を休め、シーズンインしたら体力作りに励んで試合中盤でも最高の球を投げられるように努力しなくてはなりません。

プロ野球での先発投手の球数制限はリリーフへの負担を増やすか

投手に厳しい

高校野球では球児の肩肘の怪我の防止のために投手の球数制限を設ける、という議論が進められています。
先発投手が規定の球数を投げた場合、リリーフの投手へと交換しなければならない、というルールを設けるかどうかというところで議論が行われているのですが、プロ野球の世界でも先発投手への負担を減らすため100球に届かなくても降板させるケースが増えています。

完投を目指さず、比較的短いイニングを全力で投げる、というスタイルで臨んでいるので先発投手の成績自体は上向くでしょうが、この戦法で困ってしまうのがリリーフ、つまり中継ぎピッチャーです。

プロ野球では一軍に登録される選手の数に限りがあります。
決められた枠内でポジションを勘案しながら一軍で活躍できそうな選手を選ぶのですが、2019年現在では29名を登録可能です。単純に登録されている選手の半分が投手と考えて、週6試合あるのですから先発投手を6人用意すると仮定すると、中継ぎや抑えに8人を割くことが出来るようになります。

仮に毎試合、先発が5回まで投げ切り、後をリリーフに託すと仮定すると残りの4イニングを4人程度のリリーフを出して抑える計算になりますが、こうすると8人いるリリーフピッチャーは2日に1回投げなくてはなりません。

リリーフは先発より短いイニングしか担当しないのだから負担が少ないはず、と考えるかもしれませんが、毎試合ブルペンで肩を投げられる状態まで温め、それからマウンドに向かうわけですからリリーフが投げている球数は試合で投げている球数の倍ほどになる、と考えても差し支えないでしょう。
これを2日に1回のペースで行っていた場合、一週間に投げる球数は先発投手とそう大差無いものになります。

リリーフのほうが登板間隔が短く、肩肘を休ませられる期間を長く取れないことから故障するリスクが先発に比べて高い、と言わざるを得ません。先発投手の球数制限を実施するなら、リリーフに負担をかけないための工夫が必要になるでしょう。